記事補完

 巨人のセ・リーグ3連覇で、2人の闘志にはさらに火が入った。2人−。昨年まで同じユニホームを身にまとっていた二岡と林だ。
 脚部に不安を抱えたまま今季を戦ってきた二岡。常時出場するわけではなく「今調子がいいのか悪いのか、自分でもよくわからない」と、新天地で手探りのプレーが続いていた。キャンプ中に巨人のことを聞かれても「ニュースも見てませんよ。自分のことでいっぱいいっぱい」。8月に巨人亀井がランニング本塁打を放ち、それがチームとしては05年の二岡以来だったことを告げられても「そうみたいですね。さっき新聞で見ました」と素っ気なかった。
 だがやはり、古巣の状況が気にならないわけがなかった。新聞を開けば、自然と「巨人」の2文字を目で追った。「(クライマックス・シリーズに)広島が出てくると、先発投手がいいのでやりづらい相手になるかもしれないね」。今後の戦いを頭でシミュレーションし、予想することもあった。
 一方の林も、交流戦で巨人と当たった際には、いつもより早い時間にグラウンドに姿を見せ、巨人の投手陣の面々と談笑するのがルーティン。「井戸端会議ですよ」。たわいもない話だが、昨年まで一緒に戦った仲間たちとの会話は、気分転換にも活力にもなった。
 そんな2人が今シーズン、お互いに言い続けてきた言葉。「日本シリーズは巨人とやれたらいい」。因縁の相手と大舞台で激突し、倒すことを思い描いてきた。“相手”はリーグを制し、頂上決戦に1歩近づいた。日本ハムは4連敗で優勝マジック「10」と足踏み中。次は、自分たちが足を踏み出す番だ。(本間翼)(ニッカンハム番日記)

当たると無駄に色々言われて鬱陶しいのは目に見えてるから、私は出来れば他のチームがいいと思っていたんだけどな。もう見るだけで反吐が出るしw
でも本人がそう思ってるならやらせてあげたい。いちばん手の内の分かっている相手でもある訳だしね。

 全力で走ることも、守備に就くことも難しい男が、バットでチームを救った。2点を追う9回2死走者なし。右ふくらはぎに不安を抱える二岡もベンチに腰を降ろしていた。しかし坪井、金子誠の連打で場内の雰囲気は一変。「代打いくぞ」。主にDHや途中出場で過ごしてきた1年。声がかかるとすぐに集中力を高めてスタンバイした。
 出番は相手バッテリーのミスで1点差に詰め寄った2死一、三塁の場面。マウンドには摂津がいた。今季3度の対戦で3三振と完敗している相手。「2三振でしょ? あっ、3三振だっけ。そういう悪いイメージはありました」。苦手意識をぬぐい去るように、あえて初球からフルスイングした。高めの直球をファウルにすると、同じコースにきた2球目の真っすぐを右前にはじき返した。「狙い球とかはなかったけど、勝ててよかった。みんながつないでくれたチャンスだったので、打ててよかったです」。ベンチは一気にお祭りムードとなり、延長12回スレッジの決勝弾につながった。そのスレッジも「みんながあきらめないでつないでくれたから、こういう結果になった」とチームメートに感謝した。
 二岡は脚部に?爆弾?を抱えながらシーズンを過ごしてきた。試合がどんなに遅くなってもケアを欠かさず、食事の際にはアルコールも控え、野菜を多く摂取した。念入りに体をいたわってきたのに…。前日25日、昨年肉離れを起こした右ふくらはぎに痛みが出た。「今までだったらそのままプレーしていたと思う。でも昨日は、自分から(無理だと)言いました。今思えば、なんで昨日は言ったのかな」。努力を重ねてきた自分に対する、神様からの「警報」だったのか。初めて自分でブレーキを踏んだが、結果的に無理をしなかったことで、この日の出場につながったのかもしれない。(ニッカン9/27紙面)